Papa とネーブル
子どもの頃、風邪をひくと 寝込んでいる私に、父が仕事帰りに いつも買って帰ってくれた
想い出のネーブル。 ネーブルが店先に並ぶ季節になると あの頃の楽しかった家族の風景を 思い出します。 おいしいものがあると、
おなかいっぱいでも おいしいから食べてみろ ひと口でいいからと、 みんながいやがっても
強引にすすめる父の目の
キラキラを忘れられません。 欠点は山ほどある人だけれど 好奇心に満ちあふれて 子どもみたいな父。だから、 そのおかげで、私もおいしいものたちと 出会ってこれたのかもしれません。
どんなに貧しくても、苦労があっても
日々、涙と笑いに
満ちあふれていたあの頃。 父に、母に大切にされて 愛されたたくさんの記憶は ずっと忘れることはありません。 決してどんなにお金を出しても 買えない宝物になって 思い出すたび、私の心の中を ぽおっと、あたためてくれています。 そして私も、父と母のように 両手にたくさん持っている愛で まわりの人たちを あたためてあげたいと思うのです。