
秋風のタルトタタン
去年も書きましたが、
タルトタタンはフランスのお菓子。
タタン姉妹の失敗から生まれた
リンゴのパイと言われています。
私は たえず 失敗ばかり。
朝から、ずっこけたり
車に頭をぶつけたり
忘れものは しょっちゅう。
覚えのない青あざだらけで
1日、ごめんなさいを何度 まわりの人に言っていることか。
こんな未完成な
おっちょこちょいの私が、 今ここで、こんなに多くの方の
お食事をつくっていることが
まだ夢のよう。
そして、こんなあわただしい毎日で
かけっこみたいに書いている文章を
読んでくださっている方から
温かいお言葉やお手紙をいただき
涙がじわり。
幸せすぎる今日の1日。
本当にありがとうございます。
でも、いっぱい失敗ばかり
してきたおかげで
こうして、おいしいタルトタタンが
焼けるようになりました。
りんごのこがし方、キャラメルの具合
火かげん。
うぬぼれかもしれませんが
愛の意味も、人よりすこしは
わかるかも。

トレモロ
他愛もないおしゃべりをする。
ちょっぴり 舌も お腹も いい感じにして。
なにげないおしゃべりに
花をさかせる。
でも、とってもそれは
貴重な時間。
昔はもっと、どこにでも
人が集まる場所があって
なにげない言葉をかわせる場所が
あちこちにありました。
お風呂屋さん 電気屋さん
文房具屋さん 八百屋さん etc…。
小さなお店に
おなじみの おばさんや おじさんがいて
「おかえり」とか「いらっしゃい」とか
温かいことを言ってくれて
あれこれおしゃべりして、お買い物。
じわっと やさしい気持ちの
余韻をかかえて、何度 笑顔でお家に帰れたことでしょう。
くだらないこと
ばかばかしいこと
どうでもいい話をしましょ。
けれど、そんなことを話せる
時間があることと
そんな人がいることは
とても貴重で 実は
とても、かけがえないこと。
心の奥がほしがっているのは
どうでもいいように思える
なにげない時間。
そんな大切な時間を過ごせる
なつかしい場所で
モンシュシュは、ずっと
あ

あの子はキッシュ
「ジジ」という黒猫が
ここを嫌いになり
旅に出てから、久しくなります。
けれど、この頃
私の焼くキッシュに にた
うす茶色の子猫が、時々
ちろちろと
姿を見せるようになりました。
動物や虫が大すきだけど、
お食事をつくるのには
お客さまにごめいわくかと、
心を鬼にして
お店に入らないようにしています。
ああ せつない。
私がもしお料理を作らないのなら
ちびちびと えさをやり、
じょじょにこちらの気を引き
ひょいと抱き上げて
いつまでもやさしく なでてやるのに。
そういえば、小さな頃から
そうやって、道を歩く子猫や子犬を
ひろってきては、お母さんにかくれて
ひみつで飼おうと、したなぁ。
結局、1日ですぐに見つかって
叱られて、泣きながらあやまって
絶対、自分で育てるからと
固く約束をしたけれど
しばらくすると、お母さんが
いつのまにか、育てていたなぁ。
そのあと、私にはちっとも
なつかなくなったなぁ。
と、まるで まるちゃんのような
なさけない思い出を振り返っては
ありきた