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いとしのセーター


私には何度着ても あきのこない 大好きなニットがあって 冬は家に帰ると

すぐにこれに着替えます。 イングランド製の

うすいイエローのセーター。 デザインが好きで買ったのに、 ゴワゴワとして自分の体にフィットせず 着心地が悪く、とても残念で。 でも、あきらめきれず ひと冬に2、3度着て出かけては やっぱり思うように着こなせなくて、 冬の終わりに手洗いしては、

また次の年。 そんなことを2、3年繰り返して あきらめかけた冬、 「あれ? なんだかここちいい !! 」 と、突然思えるようになったのです! おそらく1年、また1年と 私の体を包んでは洗っているうち 新しい毛糸のふくらみが、 年月とともに、私の体の重みを知り、 編み目が、水を通してほどよく締まり 整われてきて、私だけの 絶妙な着心地感が生まれたのです。 今では、小さな穴もあいて 育ててきた毛糸のやさしい手ざわりが 愛しくてたまりません。 冬の終わりがくると、

次のお休みの日が晴れだったら 「セーターを洗おう」と、うきうき。 イスに座り、汚れを確かめながら くちゅくちゅっとしては ゆっくり のんびり。 以前から、セーターたちの手洗いは ひそかな家事の楽しみです。 こんな何げないコトのようですが お気に入りのセーターと仲よくなって いろんなコトを教わりました。 素敵なものと、心から

仲よくなるのには、ちょっと時間が

かかることなのだということ。 何だかうまくいかないことも たくさんの時間をかけて、

あれこれ工夫をしているうちに

素敵なことがわかる、ことが

あるということ。 いく度か着ているうちに

いつの間にか 魅力がなくなり 飽きて忘れてしまうものもあれば、 逆に着るたびに、新しい時よりも もっと輝きを増して、何度も 着たくなるものも

あるのだということ。 モノも 人も、すこし似ています。 今日も、晴れたお休み。 ゆっくりとセーター洗い。 私の手で、きれいになったセーターを 「かわいいっ」と、抱きしめました。 夕方にはすっかり乾いて、きっと また私の体を、極上の着心地で 包みこんでくれることでしょう。

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